フルーツの抽出成分・果汁だけを原料とした非常に濃厚なチョコレート原料「Chocolat de couverture aux fruit」(果実クーベルチュール)を開発中です。

これまで、高級チョコレートに果実を配合する場合、果実を乾燥または乾燥粉末化しチョコレートに配合する方法が一般的でした。しかし、この方法では、ガナッシュなどチョコレート製品のセンター、つまり饅頭の餡に相当する部分への応用しかできず、饅頭の皮に相当するコーティングまたはシェルと呼ばれるチョコレートには使えませんでした。

フルーツの不溶性固形分を除き、抽出成分・果汁だけを原料として、当社独自の低温濃縮技術を駆使して水分を取り除くことにより、テンパリングの際にお使いのクーベルチュールと配合するだけで、十分な美しさ、滑らかさ、香りや味を感じられるコーティング・シェル、ケーキ・デコレーションなどを作ることのできる、極めて濃縮度が高く扱いやすい粘性や硬さを持ったクーベルチュール・オー・フリュイを開発します。

2024年3月発売予定で開発中です。


開発の概要

一般に果実入りのチョコレート製品をつくるためには、テンパリング作業の際に、クーベルチュールに乾燥果実、果実の乾燥粉末を配合したり、果実入りのクーベルチュールを配合します。現在流通している果実入りクーベルチュールは、カカオバターに乾燥果実または乾燥粉末を混ぜ込んだタイプです。ガナッシュなどには充分ですが、コーティングには香りや味が物足りず、ざらつきが目立ちます。

しかし、ボンボンショコラなどのコーティングやシェルに使ったり、オランジェット、ケーキなどでも存在感のあるコーティングができるチョコレートは強い香り、酸味、風味と、滑らかな触感が求められます。

コーティングやシェルは1mmから3mm程度しかないため、この薄いチョコレートの層だけで十分な香りや風味を感じられる濃さが必要になります。また、チョコレートの顔の部分であり、美しさや滑らかな食感が求められるため、果実のボディはもちろん、粉っぽさが残っていては使えません。

そこで、国産農産物から香り・風味の成分を抽出して不溶性固形分を取り除いた濃縮液を作り、カカオバターに溶解させ、30℃程度の低温で水分を除去することにより、農産物の香り・味を感じることができ、美しさと滑らかな食感を有する濃厚なクーベルチュールを開発します。

濃縮倍率はとても大切なポイントです。つまりクーベルチュール1kgあたりに何kgの果実が詰め込まれていて、ショコラティエが他のクーベルチュールや生クリームなどと混ぜ合わせて使っても十分な果実の濃度が必要です。それがショコラティエの創作の自由度を決定します。

試作予定の果実・農産物

ゆず、レモン、その他柑橘、いちご、梅、サクランボ、ブルーベリー、クランベリー、ラズベリー、ブラックベリー、マンゴー、桃、スモモ、西洋スモモ、洋ナシ、すいか、ゆず、ブドウなどの果実、わさび、お茶(ほうじ茶、和紅茶)、いちじく、パッションフルーツ、ドラゴンフルーツ、ザクロ、バナナ、パイナップル、キウイ、パパイヤ、スターフルーツ、チェリモヤ等